セルフラボ 野江駅前メンタルクリニック

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過敏性腸症候群

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過敏性腸症候群(IBS)とは?

過敏性腸症候群(IBS)は、内視鏡や検査で炎症や腫瘍などの明らかな異常が認められないにもかかわらず、腹痛や腹部不快感と便通異常(下痢・便秘)が慢性的に続く疾患です。いわゆる機能性消化管障害に分類されます。

症状の特徴として、

  • 腹痛や腹部不快感が繰り返し起こる
  • 便通(下痢・便秘)と関連して症状が変化する
  • 排便により症状が軽快することがある

といった点が挙げられます。

国内では一定の頻度でみられる疾患で、年齢や性別を問わず発症しますが、若年〜中年層が多いとされています。

過敏性腸症候群(IBS)とは?

発症には、ストレスや生活環境の影響に加え、腸と脳の相互作用(脳腸相関)や自律神経の調整異常が関与していると考えられています。

腸の動きや内臓の感受性が過敏になることで、少しの刺激でも症状が出やすくなるのが特徴です。

また、一般的に

  • 男性では下痢型が多い
  • 女性では便秘型が多い

といった傾向がみられることもあります。

命に関わる病気ではありませんが、通勤や通学、人前での活動などに影響を及ぼし、生活の質(QOL)を大きく低下させることがあります。

過敏性腸症候群の4つの型と症状

過敏性腸症候群(IBS)は、便の性状に基づいていくつかのタイプに分類されます。
分類は、症状がある日のうちでの便性状の割合をもとに判断されます。

①下痢型(IBS-D)

下痢型は、症状がある日のうち25%以上が泥状便・水様便で、かつ硬い便が25%未満のタイプです。

主な特徴は、

  • 突然の強い便意
  • 排便回数の増加
  • 泥状〜水様便が主体

などで、外出時にトイレの場所を気にせざるを得ないなど、日常生活に影響を及ぼすことがあります。
また、粘液が混じる便がみられることもあります。

②便秘型(IBS-C)

便秘型は、症状がある日のうち25%以上が硬便(コロコロ便)で、かつ泥状便・水様便が25%未満のタイプです。

主な特徴は、

  • 硬く小さな便(兎糞状便)
  • 排便時のいきみ
  • 排便後の残便感

などで、腹部膨満感や不快感を伴うことが多くみられます。

一般的に女性に多い傾向があるとされていますが、個人差があります。

③混合型(IBS-M)

過敏性腸症候群の混合型は、症状がある日のうち25%以上で硬い便(コロコロ便)と、25%以上で泥状便・水様便の両方がみられるタイプです。

便秘と下痢が交互に現れるのが特徴で、

  • 数日単位で便通が変化する
  • 同じ時期に両方の症状が混在する

といった経過をとることもあります。

症状の変動が大きく、生活リズムやストレスの影響を受けやすい点が特徴です。腹痛や腹部不快感を伴うことも多く、日常生活に影響を及ぼします。

④分類不能型(IBS-U)・いわゆる「ガス型」

分類不能型(IBS-U)は、下痢型・便秘型・混合型のいずれの基準(25%ルール)にも明確に当てはまらないタイプです。

便の性状は大きく偏らないものの、

  • 腹痛や腹部不快感
  • 便通に関連する違和感

といった症状がみられます。

また、臨床的には、

  • おなら(ガス)が頻繁に出る
  • お腹の張り(腹部膨満感)が強い

といった症状が目立つ場合に「ガス型」と表現されることがありますが、これは正式な医学的分類ではありません。

便の形状は比較的保たれている場合でも、腹部症状が日常生活の支障となることがあります。

過敏性腸症候群の原因

過敏性腸症候群(IBS)の原因は一つに特定されておらず、複数の要因が関係する多因子モデルで説明されます。

重要な概念として、脳と腸の相互作用(脳腸相関)があります。

脳と腸は自律神経やホルモンを介して密接につながっており、ストレスや不安などの心理的要因が腸の運動や感覚に影響を与えることで、症状が生じやすくなります。

主な関与要因には、以下が挙げられます。

  • 脳腸相関の乱れ:ストレスや緊張により自律神経のバランスが崩れ、腸の動き(蠕動運動)が不安定になります。
  • 内臓知覚過敏:腸に加わる通常の刺激を過剰に痛みとして感じてしまう状態で、腹痛や不快感の原因となります。
  • 腸管運動の異常:腸の動きが速すぎる場合は下痢に、遅すぎる場合は便秘につながります。
  • 腸内環境の変化・微細炎症:腸内細菌バランスの乱れや、目に見えないレベルの炎症が関与している可能性が指摘されています。
  • 生活要因:過労、睡眠不足、食生活の乱れなどの身体的負荷も、症状を悪化させる要因となります。

このように、IBSは「ストレスだけの病気」ではなく、心と身体の両面が関与する疾患です。
複数の要因が重なって症状が現れるため、個々の状態に応じた対処が重要となります。

過敏性腸症候群になりやすい人とは?

過敏性腸症候群(IBS)は、特定の人だけに起こる病気ではありませんが、いくつかの要因が重なることで発症しやすくなる傾向(脆弱性)があると考えられています。

関連が指摘されている主な要因には、以下のようなものがあります。

  • 日常的に緊張や不安を感じやすい
  • 几帳面・責任感が強いといった性格傾向
  • ストレスの影響を受けやすい生活環境
  • 不規則な生活(睡眠不足・食生活の乱れ)
  • 腸の動きや感覚の過敏性(体質的要因)

これらはあくまで「関連する要因」であり、どれか一つだけで発症するわけではありません。

年齢や性別による傾向としては、若年〜中年層に多くみられ、

  • 男性では下痢型
  • 女性では便秘型

が多いとされることがありますが、個人差があります。

また、思春期などのライフステージでは、環境の変化や心理的負荷が自律神経に影響し、症状が出現しやすくなる場合もあります。

さらに、排便に対する過度な意識や不安は、腸の動きを乱し、症状を悪化させることがあります。
そのため、「コントロールしようとしすぎないこと」も重要なポイントです。

IBSは、心と身体の両面が関与する疾患であり、特定の性格や体質だけに原因を求めるのではなく、全体のバランスとして理解することが大切です。

過敏性腸症候群の検査・診断方法

過敏性腸症候群(IBS)の診断は、症状の経過を丁寧に確認するとともに、他の器質的疾患(大腸がん・炎症性腸疾患など)を除外することによって行われます。

国際的に用いられる診断基準の「Rome IV criteria」では、以下の条件を満たす場合にIBSが疑われます。

  • 直近3ヶ月間、平均して週1回以上の腹痛がある
  • その腹痛が以下のうち2つ以上に関連している
  • 排便に関連して症状が変化する(改善または悪化)
  • 排便頻度の変化を伴う
  • 便の形状(硬さ・性状)の変化を伴う

さらに、症状の出現は6ヶ月以上前からであることが条件とされています。

過敏性腸症候群の除外診断

IBSは「異常が見つからないこと」を前提とした診断であるため、以下のような疾患を除外することが重要です。

  • 大腸がん
  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
  • 感染性腸炎 など

特に以下のような警告徴候(赤旗症状)がある場合は、精密検査が必要です。

  • 血便
  • 原因不明の体重減少
  • 発熱
  • 貧血
  • 50歳以上での新規発症

このような場合には、大腸内視鏡検査などで詳細な評価を行います。

過敏性腸症候群の主な検査内容

  • 便潜血検査:出血の有無を確認
  • 血液検査:炎症反応、貧血、甲状腺機能などを評価
  • 必要に応じて画像検査(CTなど)

これらの検査により、器質的な異常がないことを確認したうえで、IBSの診断に至ります。

過敏性腸症候群のセルフチェック

過敏性腸症候群(IBS)は、日常の排便習慣や腹部症状からある程度の目安をつけることができます。

次のような状態に心当たりがないか確認してみてください。

  • 腹痛やお腹の張りを週1回以上感じる
  • 排便によって症状が軽くなる、または変化する
  • 便秘と下痢を繰り返す
  • 急な便意でトイレに駆け込むことがある
  • 排便後もすっきりしない(残便感がある)
  • 緊張する場面で腹痛や便意が起こる
  • 便が細い、または硬く小さい
  • 1日に何度もトイレに行く
  • 休日やリラックス時は症状が軽くなる傾向がある

これらの症状が複数あり、日常生活に支障が出ている場合は、IBSの可能性があります。

受診を強く検討すべきサイン

以下のような症状がある場合は、IBS以外の病気の可能性もあるため、早めに医療機関を受診してください。

  • 血便がある
  • 原因不明の体重減少
  • 発熱が続く
  • 貧血を指摘された
  • 50歳以降に初めて症状が出た

セルフチェックはあくまで目安です。
症状が長引く場合や生活に影響が出ている場合は、我慢せず専門の医療機関へ相談することが大切です。

過敏性腸症候群は何科を受診すべき?消化器内科や心療内科

過敏性腸症候群(IBS)が疑われる場合、消化器内科または心療内科のいずれでも相談が可能です。

まず消化器内科を受診するケース

次のような場合は、消化器内科での評価を優先するのが望ましいです。

  • 初めて症状が出た
  • 症状が急に変化した
  • 血便、体重減少、発熱などの異常がある
  • 50歳以降に新規発症した

消化器内科では、

  • 血液検査
  • 便潜血検査
  • 必要に応じて大腸内視鏡検査

などを行い、大腸がんや炎症性腸疾患などの器質的疾患を除外します。

心療内科の受診が有効なケース

以下のような場合は、心療内科の関与が有効です。

  • ストレスや緊張で症状が悪化する
  • 不安や抑うつなど精神的な負担が強い
  • 検査で異常がないが症状が続いている

心療内科では、脳腸相関の視点から、

  • ストレス対処
  • 自律神経の調整
  • 必要に応じた薬物療法

などを組み合わせた治療が行われます。

実際の受診の考え方

迷った場合は、

  • 身体症状が中心:消化器内科
  • ストレス・不安の影響が強い:心療内科

を目安にするとよいでしょう。

いずれの診療科でも、必要に応じて他科へ紹介されるため、まずは受診しやすい医療機関から相談することが大切です。

過敏性腸症候群の治療方法

過敏性腸症候群(IBS)の治療は、生活習慣の改善・食事療法・薬物療法・心理的アプローチを組み合わせて行われます。

まずは日常生活の見直しが基本となります。

過敏性腸症候群の治療方法

①生活習慣の改善

IBSでは、腸の働きと自律神経のバランスを整えることが重要です。

  • 規則正しい生活(起床・就寝時間の安定)
  • 十分な睡眠と休息
  • ウォーキングなどの適度な有酸素運動

これらを継続することで、症状の安定につながることが期待されます。

タイプ別の工夫としては、

  • 便秘型:水分摂取+可溶性食物繊維(オートミール・海藻など)
  • 下痢型:こまめな水分補給(脱水予防)、冷たい飲料の摂りすぎを避ける

といった対応が有効です。

②食事療法

過敏性腸症候群(IBS)の食事療法では、規則正しい食習慣を整えるとともに、自分の症状に影響する食材を見極めることが重要です。

基本として、

  • 1日3食を規則正しく摂る
  • 暴飲暴食や夜間の過食を避ける

といった習慣が推奨されます。

特に、

  • 脂質の多い食事
  • アルコール
  • 香辛料
  • カフェイン

などは腸への刺激となり、症状を悪化させることがあるため注意が必要です。

③薬物療法

過敏性腸症候群(IBS)の薬物療法は、生活習慣や食事療法で十分な改善が得られない場合に検討されます。
症状のタイプ(下痢型・便秘型など)に応じて薬を使い分けることが重要です。

主な薬剤は以下の通りです。

薬剤特徴副作用
消化管運動機能調節薬腸の動きを整え、便通のリズムを安定させます腹痛、下痢、吐き気、便秘、眠気
プロバイオティクスビフィズス菌などの有用菌を補い、腸内環境の改善を図ります腹部膨満感、ガス増加、軟便 など
高分子重合体(便性状改善薬)便の水分バランスを調整し、下痢・便秘の両方に対応します下痢、腹部膨満、腹痛 など
セロトニン3受容体拮抗薬(5-HT3拮抗薬)腸の過剰な運動を抑え、主に下痢型IBSに用いられます便秘、腹部膨満、悪心、頭痛 など
粘膜上皮機能変容薬(分泌促進薬など)腸管内への水分分泌を促し、便を柔らかくします下痢、腹痛、悪心、腹部不快感 など
抗不安薬・抗うつ薬ストレスや不安が強い場合に、脳腸相関へ作用し症状緩和を図ります眠気、ふらつき、口渇、便秘、吐き気 など
漢方薬体質や症状に応じて、腹部不快感や便通異常の改善を目的に使用されます胃部不快感、下痢、肝機能障害、間質性肺炎 など

また、治療は「一律」ではなく、

  • 下痢型:腸運動抑制・5-HT3拮抗薬
  • 便秘型:分泌促進薬・食物繊維系

といったように、症状に応じた個別化治療が基本となります。

④精神療法

過敏性腸症候群(IBS)の治療では、脳と腸が双方向に影響を及ぼし合う仕組み(脳腸相関)に働きかける精神療法が有効な場合があります。

薬物療法だけで十分な改善が得られない場合や、ストレス・不安が症状に強く影響している場合に検討されます。

主な手法には以下があります。

  • 認知行動療法(CBT):不安や症状に対する捉え方や行動パターンを見直し、症状の悪循環を断ち切る
  • ストレスマネジメント:日常のストレス要因を整理し、対処方法を身につける
  • 弛緩法(リラクセーション):呼吸法や筋弛緩法により自律神経のバランスを整える
  • マインドフルネス療法:症状への過剰な注意や反応を和らげる
  • 腸指向性催眠療法(gut-directed hypnotherapy):腸の知覚過敏に働きかけ、症状の軽減を図る

これらは単独でも効果が期待されますが、薬物療法と併用して行われることもあります。

日常でできる工夫としては、専門的な治療に加えて、日常生活でも以下のような取り組みが有効です。

  • 趣味や運動によるストレス発散
  • 呼吸やリラックスの習慣化
  • 「症状に過度に意識を向けすぎない」意識づけ

IBSでは、「症状をコントロールしようとしすぎること」自体が悪循環になることもあります。

そのため、考え方や反応のパターンを整えることが、腸の状態の安定にもつながると考えられています。

過敏性腸症候群でお悩みの方は当院へご相談ください

お腹の不調が続き日常生活に不安を感じている方は、我慢せず当院へご相談ください。

精神科・心療内科の当院では、心理的側面からも一人ひとりに寄り添った丁寧なサポートを心がけています。

治療は薬物療法に限定せず、環境調整なども含めて一人ひとりに合った方針を一緒に考えていきます。

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