うつ病(児童思春期外来)
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うつ病とは?
うつ病とは、強い憂うつ感や意欲の低下により、日常生活に支障をきたす病気のことです。うつ病は大人だけの病気ではなく、子どももうつ病になることがあります。
物事に対して関心や取り組む意欲が失せ、やる気が起きない状態がほとんど一日中続き、その状態が2週間以上ほぼ毎日続く場合は、うつ病の可能性があります。
強い倦怠感や睡眠障害、食欲不振、頭痛などの症状を伴うことがあり、日常生活に支障をきたすことが多いですが、早期発見と適切な対応で回復が期待できます。
うつ病は本人の甘えや性格の問題ではなく、誰にでも起こりうる身近な病気です。
趣味や好きな遊びをやらなくなった、朝起きられず学校に行きたがらないなど、お子さまにこのような変化が現れたときは、早めに専門機関へ相談することが大切です。

子どものうつ病のサイン・症状
うつ病の症状はさまざまですが、気分や考え方、身体などにあらゆるサイン・症状が現れるようになります。
症状は大きく分けて、「精神症状」と「身体症状」の2つに分けて考えることができます。
①精神症状
子どものうつ病の精神症状としては、次のものがあげられます。
- 抑うつ気分(気分の落ち込み、憂うつな気持ち)
- 好きなことが楽しめない
- 何事にも興味・関心が持てない
- 気力がわかない
- 集中が続かない
- 何事も頭に入らない
- いらいらする
- 落ち着かない
- 将来に希望がもてなくなる
- 焦燥感、自責感が強くなる
- 決断力が低下する
うつ病そのものが原因で直接現れる「中核症状」には、興味関心の減退や気力の減退があります。さらに、中核症状に加えて、周囲の環境が引き金となって後から生じる二次症状として、不登校や自傷行為などが起こることもあります。
また、他の病気が原因で同様の症状が現れることもあるため、不調が続く場合には、早めに専門の医療機関へ相談することが大切です。
②身体症状
うつ病は気分の落ち込みだけでなく、身体のさまざまな不調が現れることがあります。子どものうつ病の身体症状としては、次のものがあげられます。
- 睡眠障害(眠れない、寝すぎる)
- 食欲不振(食べられない)
- 食欲亢進(食べすぎる)
- だるい、疲れやすい
- 元気が出ない
- 頭痛、めまい、吐き気
うつ病の身体症状として、睡眠障害や食欲障害といった症状があり、人によっては頭痛やめまい、吐き気などを感じることもあります。
特に、子どものうつ病には身体症状が前面に現れやすく、うつ症状は必ずしも悲しみや気分の落ち込みだけではないことに注意が必要です。
子どものうつ病に対して家族はどう対処すればいいのか
お子さまによっては、うつ症状としてリストカットや過量内服(OD)といった自傷行為を行うことがあります。
親御さまがリストカットやODを見つけたとき、まず大切なのはお子さまを「責めないこと」です。
説教をしたり、無理にやめさせようとしたりする前に、「それほどつらかったんだね」と、その背景にある苦しさを受け止めてあげてください。
多くの場合、リストカットやODは「死にたいから」だけではなく、強いストレスや苦しさを何とかやり過ごすための行為として行われています。
私たち大人も、運動をしたりお酒を飲んだり、誰かと話したりしてストレスを発散しています。
それと同じように、本人にとってはリストカットやODが「苦しさから逃れる手段」になっていることがあります。
そのため、行為だけを否定したり制限したりすると、「つらさを分かってもらえない」「気持ちを否定された」と感じ、さらに孤立してしまうこともあります。
大切なのは、行為そのものだけを見るのではなく、「なぜそこまで追い込まれていたのか」を一緒に考えることです。そして、一人で抱え込まず、早めに医療機関へご相談ください。

子どもがうつ病になる原因
うつ病には遺伝的な影響も指摘されていますが、現在でも、はっきりとした原因は解明されていません。
一方で、多くの場合、強いストレスが長期間続くことが、発症に関係していると考えられています。子どもはまだ心の発達の途中にあり、「自分の価値」を周囲の評価や環境から強く受け取りやすい時期です。
たとえば、
- 頑張らなければ認められない
- 失敗してはいけない
- 期待に応えなければいけない
という思いが強くなると、日常そのものが大きなプレッシャーになってしまうことがあります。これは、親御さまが悪い、親のせいという意味ではありません。
多くの場合、保護者の方も「子どもを思う気持ち」から声をかけています。しかし、子ども側が「できない自分には価値がない」と受け取ってしまうと、心に強い負荷がかかり続けてしまうことがあります。
そのため大切なのは、まず子どもが今「どんなふうに物事を受け止めているのか」を理解することです。
その認知の偏りや苦しさを一緒に整理し、少しずつ「自分を追い込みすぎない考え方」を身につけていくことで、日常のストレスを軽くしていくことが治療につながります。
子どものうつ病の治療
子どものうつ病の治療法には、大きく分けて次の3つがあります。
- 環境調整
- 精神療法
- 薬物療法
うつ病の原因はさまざまで、その原因に適した治療法が選択されます。そのため、医師と相談しながら、一人ひとりの状態に合わせて治療を進めることが必要です。
ここからは、それぞれの治療法について紹介します。
①環境調整
子どもの生活環境を整えることは、うつ病の基本的な治療です。
特に、うつ症状が環境要因による影響で起きている場合、本人にあった環境に調整することで、症状が落ち着く可能性があります。
例えば、就寝と起床時間を決めたり、朝は日光を浴びて朝食を食べるようにしたり、日中に軽い運動をするなど体内時計を整える方法があります。
また、夜のスマホやゲームを制限するのではなく、時間帯や終わり方を決めておくなど、無理のない範囲で調整することが重要です。
②精神療法
うつ病の治療における精神療法とは、ストレスへの対処法を身につけたり、うつ症状に傾きやすい考え方や行動のパターンを見直したりすることで、症状の改善や再発予防を目指す治療法です。
精神療法では認知療法と行動療法を組み合わせた「認知行動療法(CBT)」を行い、うつ症状の緩和を目指します。
認知療法は、偏った考え方を調整して、柔軟な考え方ができるようにする方法です。例えば「自分はダメな人間だ」などと、無意識に否定的に考えてしまうクセが疑われる場合は、「自分にしかできないこともある」などポジティブな考えができるようにします。
また、行動療法は毎日の行動を少しずつ変えていく方法で、例えば「いつもより10分早く起きて、朝起きたらカーテンを開ける」など、できることから少しずつ行っていきます。
そのほか、カウンセリングにより、自身を理解してくれる人と対話をすることで、回復を目指します。
③薬物療法
子どものうつ症状が強く、生活に大きな支障をきたしている場合には、薬物療法を検討することがあります。
薬物療法は、うつ病に伴う脳内の神経伝達のバランスを整え、症状の軽減を目指す治療法です。小学生や中学生、高校生といった児童・思春期のお子さまに対しては、効果と副作用のバランスを考えて少量から慎重に調整していきます。
また、睡眠障害が生じている場合は、自然な睡眠を促すために、睡眠薬の処方を検討することもあります。
薬物療法の必要性や内容については、主治医と相談しながら進めていくことが大切です。親御さまに関しても、薬物療法を開始初期はお子さまの行動の変化を注意深く見守る必要があります。
子どものうつ病のことでお悩みなら当院へご相談ください
当院では、子どものうつ症状に対して、「今どのような負荷がかかっているのか」「本人がどのように物事を受け止めているのか」を丁寧に整理しながら診療を行っています。
子どものこころの不調は、学校・家庭・人間関係・発達特性など、さまざまな要因が複雑に関係していることがあります。
そのため、症状だけを見るのではなく、生活背景や考え方の傾向まで含めて理解することを大切にしています。
また、保護者の方だけで抱え込まなくてよいよう、ご家族へのサポートや相談も重視しています。
必要に応じて、学校との連携や、専門機関・心理支援機関へのご紹介も行っております。
- 「最近元気がない」
- 「学校に行けなくなった」
- 「自分を責める言葉が増えた」
など、気になる変化がありましたら、一人で悩まずご相談ください。